この条文は、債務者が特定の物を債権者に引き渡す義務を負っている場合、その引渡しが完了するまでの間、債務者はその物を善良な管理者の注意をもって保存しなければならないと定めています。
「善良な管理者の注意」というのは、社会通念上、その人の職業や能力などから期待される注意義務のことで、客観的・抽象的な注意義務とされています。
自分の物に対する注意よりも高い注意義務が課されることになります。
例えば、中古の絵画を売買する契約において、売主(債務者)は買主(債権者)にその絵画を引き渡すまで、適切な温湿度管理を行い、傷がつかないように丁寧に保管する義務を負います。
この規定があることで、債権者は引渡しを受けるまで、その物が債務者の不注意によって毀損したり価値を損なわれたりするリスクを軽減することができます。
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