第四百二条 債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。
ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。
第一項では、債権の目的物が金銭である場合、原則として債務者は自己の選択に従って、様々な種類の通貨で弁済することができると定めています。
これは、債務者に有利な規定と言えます。
ただし、契約などで特定の種類の通貨(例えば、「アメリカドルで支払う」など)を債権の目的とした場合は、その特定の通貨で弁済しなければなりません。
第二項では、債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っている場合、債務者は他の通貨で弁済しなければならないと定めています。
これは、もはや流通していない通貨での弁済は意味がないため、債権者を保護する趣旨の規定です。
第三項では、第一項と第二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合にも準用すると定めています。
つまり、外国の通貨で支払う旨の合意があった場合でも、債務者は原則として他の種類の通貨で弁済できますが、特定の外国通貨を指定した場合はその通貨で支払う必要があります。
また、指定された外国通貨が弁済期に強制通用の効力を失っている場合は、他の通貨で弁済しなければなりません。
この条文は、金銭債権の弁済における柔軟性を持たせつつ、債権者の利益も保護する役割を果たしています。
国際的な取引においても、通貨の変動や制度変更に対応するための重要な規定と言えるでしょう。
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