この条文は、債権額が外国の通貨(例えば、1000アメリカドルなど)で定められている場合、債務者は、債務の履行地における為替相場に基づいて、日本の通貨で弁済することができると定めています。
これは、外国の通貨で債務を負っている債務者にとって、必ずしもその外国の通貨を用意しなくても、日本の通貨で弁済できるという点で、利便性を図る規定と言えます。
為替相場は常に変動するため、実際に弁済する時点での相場が適用されることになります。
ただし、これはあくまで「することができる」という任意規定であり、当事者間の合意によって、外国の通貨そのもので弁済する旨を定めることも可能です(第四百二条第一項ただし書参照)。
例えば、横浜に住むAさんが、アメリカに住むBさんに対して1000アメリカドルの債務を負っている場合、弁済期に横浜におけるアメリカドルと日本円の為替相場に基づいて計算された日本円をBさんに支払うことで、債務を履行することができます。
この規定は、国際的な取引において、為替変動のリスクを債権者と債務者のどちらが負うのかという点や、弁済の手間などを考慮して設けられています。
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