この条文は、利息の支払いが一年分以上遅れている場合に、債権者が債務者に支払いを催告しても、なお債務者がその利息を支払わないとき、債権者はその滞っている利息を元本に組み入れることができると定めています。これを利息の元本組入れと言います。


利息が元本に組み入れられると、その組み入れられた利息に対しても、将来的に利息が発生することになります。


これは、債務者に対して早期の支払いを促すとともに、債権者の損害拡大を防ぐための措置と考えられます。

ただし、この元本組入れを行うためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 利息の支払いが一年分以上延滞していること: 単に数ヶ月遅れているだけでは、元本組入れはできません。
  2. 債権者が債務者に対して支払いを催告したこと: 口頭での催告でも有効ですが、後々の証拠として内容証明郵便などで行われることが多いです。
  3. 債務者がその催告に応じず、利息を支払わないこと: 催告後、相当期間を経過しても支払いがなければ、元本組入れが可能になります。



これらの要件を満たせば、債権者は一方的に滞納利息を元本に組み入れることができます。
ただし、当事者間の合意によって、この元本組入れを禁止したり、要件を緩和・厳格化したりすることも可能です。

例えば、毎月1万円の利息が発生する債権において、1年3ヶ月間利息の支払いが滞っている場合、債権者が債務者に支払いを催告しても支払いがなければ、滞納している15万円(1万円×15ヶ月)を元本に組み入れることができます。
その結果、以後の利息計算は、元の元本にこの15万円を加えた金額を元本として行われることになります。