この条文は、損害賠償の方法について定めており、原則として金銭賠償によることを明らかにしています。



第四百十七条
は、「損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める」と規定しています。


この条文のポイントは以下のとおりです。

  • 原則として金銭賠償: 債務不履行によって生じた損害は、原則として金銭で評価され、その金額が賠償されることになります。これは、損害を最も公平かつ簡便に評価し、債権者の救済を図るための一般的な方法です。

  • 別段の意思表示: ただし、「別段の意思表示がないとき」という文言があるように、当事者間で損害賠償の方法について特別な合意がある場合は、その合意が優先されます。例えば、損害賠償として金銭ではなく、代替物の提供や修理などを行うことが契約で定められている場合などです。



具体例を挙げると、

  • 原則の金銭賠償:

    • 契約で約束された期日に商品が納品されず、債権者がそのために損失を被った場合、債務者はその損失額を金銭で賠償することになります。
    • 不法行為によって他人に怪我を負わせた場合、加害者は被害者の治療費や慰謝料などを金銭で賠償することになります(これは債務不履行ではありませんが、損害賠償の原則として同様の考え方が適用されます)。
  • 別段の意思表示の例:

    • 製品の瑕疵によって損害が発生した場合に、契約書で損害賠償の方法として無償での修理や代替品の提供が定められている場合、債務者は金銭による賠償ではなく、修理や代替品の提供を行うことになります。
    • 当事者間の合意により、損害賠償の代わりに特定の物品を譲渡することなどが決められた場合も、金銭賠償によらない損害賠償となります。



この条文は、損害賠償の基本的な形態を定めることで、紛争の解決における予測可能性を高め、当事者間の法律関係を安定させる役割を果たします。