第二款 債権者代位権

この条文は、債権者の方がご自身の債権をきちんと回収するために、債務者の方が持っている権利を代わりに使うことができる場合について定めています。
ただし、どんな権利でも使えるわけではないんですね。




第一項
では、債権者代位権を行使できる基本的な要件を定めています。

  • 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。
    • これは、債権者の方が持っている債権をきちんと守るために必要がある場合に、債務者の方が持っている権利(例えば、誰かにお金を貸している場合のそのお金を請求する権利など)を、債権者の方が代わりに使うことができる、ということを意味しています。
  • ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
    • しかし、債務者の方だけが行使できるような権利(例えば、慰謝料請求権や扶養請求権など)や、法律で差し押さえることができないと定められている権利(例えば、生活に必要な最低限の給料など)は、債権者の方が代わりに使うことはできません。




第二項
では、債権者代位権を行使できる時期について定めています。

  • 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。
    • 原則として、債権者の方が債務者に対して持っている債権の支払期限がまだ来ていない場合は、債権者代位権を使うことはできません。
  • ただし、保存行為は、この限りでない。
    • ただし、債務者の方が持っている権利を現状維持するための行為(例えば、時効を中断させる手続きなど)であれば、債権の期限が来ていなくても行うことができます。




第三項
では、債権者代位権を行使できない場合について定めています。

  • 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。
    • もし債権者の方が持っている債権が、強制執行という手続きで実現することができないような性質のものである場合は、債権者代位権を使うことはできません。例えば、特定の目的物の引き渡しを求めるような債権などがこれに該当する場合があります。




このように、第四百二十三条は、債権者の方の権利を守るための重要な規定である一方で、債務者の方の権利や立場も考慮したバランスの取れた内容になっていると言えるでしょう。