債権者代位権を行使する際に、その対象となる権利(被代位権利)が金銭の支払いや動産の引渡しを目的とする場合に、債権者がどのような請求ができるのかを定めた条文です。
この条文のポイントは、金銭の支払いや動産の引渡しを求める権利を行使する場合、債権者は相手方に対して直接自分に支払いや引渡しをするように請求できるということです。
具体的に見ていきましょう。
- 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、
- これは、債権者の方が債権者代位権を行使しようとする際に、その対象となる債務者の方の権利が、第三者から金銭を受け取る権利(例えば、貸金債権や売買代金債権など)や、動産(例えば、売買契約に基づいて引き渡されるはずの商品など)の引渡しを受ける権利である場合を指しています。
- 相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。
- ここが重要な部分です。通常、債務者の権利であれば、債務者自身が第三者に対して支払いや引渡しを求めるはずですが、債権者代位権を行使する場合、債権者はその支払いや引渡しを第三者(相手方)に対して直接自分にするように請求できるのです。
- この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅する。
- そして、もし第三者(相手方)が債権者に対して金銭を支払ったり、動産を引き渡したりした場合、その範囲において、債務者が第三者に対して持っていた権利(被代位権利)は消滅します。つまり、第三者は同じ支払いや引渡しを債務者に対して改めて行う必要はなくなります。
この条文があることで、債権者は債務者の財産を直接確保しやすくなり、債権回収の実効性が高まります。また、第三者(相手方)にとっても、債権者に対して支払いや引渡しをすることで、債務者に対する義務も同時に果たせるというメリットがあります。
例えば、債権者Aが債務者Bに対して100万円の債権を持っており、債務者Bが第三者Cに対して50万円の貸金債権を持っているとします。
この場合、債権者Aは債権者代位権を行使して、第三者Cに対して直接50万円の支払いを自分にするように請求することができます。
そして、第三者Cが債権者Aに50万円を支払えば、債務者Bが第三者Cに対して持っていた50万円の貸金債権は消滅します。
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